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超特急が遠慮なく血に染まる「Beautiful Chaser」の魅力を語る

natalie.mu


 

みなさんは「リョナ(男リョナ)」という単語を聞いたことがあるだろうか?


扱いに注意を要するワードなので、詳細は個人で検索してくれると助かります(なら聞くな)。

そんなリョナ/男リョナですが、わたしの知人にもリョナが大好きな人がいたり、個人的にも劇中内に限ってはどちらかと言えば好きな方で、ニッチとは言いがたいほど支持を集めるカテゴリーに該当すると考えています。

 

話は変わりますが、みなさんは超特急の「Beautiful Chaser」という楽曲はご存知でしょうか?

 


超特急「Beautiful Chaser」MUSIC VIDEO

 

2015年放送のドラマ 『探偵の探偵』(フジテレビ)の主題歌で、当時の彼らにはダークすぎるほど、「らしくなさ」抜群の異色の一曲です。
この曲は七つの大罪をテーマにメンバーがそれぞれ大罪を背負い、それが暗に表現された創造意欲をかき立てる芸術性の高いMVが制作されています。
MVは、赤いレーザー状のライトのみが光る無骨な空間で撮影され、全体的になんとも陰湿で不穏な空気が漂います。本曲のセンターであり、憤怒の罪を担う5号車ユーキくんの鋭い眼差しが、最後にヒリッとするようなささやかな恐怖を与えるのが印象的。

 

ここまではね、主題歌ですから。割りと観ていただいている方も多いんですよ。
実はこのBeautiful Chaserには、MVのほかに「Music Story Film」と呼ばれるショートフィルムが制作されています。Youtubeにさらにそのショートバージョンがアップされているのでぜひチェック。

 

www.youtube.com

 

 

さてここでもう一度聞きます。みなさんはリョナをご存知ですか。

 

このStory Filmは、一度「美形が次々に惨殺されるMV」としてプチバズが巻き起こり、本当に感謝感謝。しかしながら、あと一歩一大バズには届かず、ファンとしての力不足を痛感しました。

 

そして読んで字のごとく、超特急メンバーが扮する青年らが遠慮なく殺されていきます。「中高生に人気!」とよく言われる超特急とは思えないほど、普通に容赦の無い描写が連続し、自主規制(自己判断での視聴推奨)が設けられているほど。映倫で言えばPG12にはなりそう。ライチ★光クラブ好きとしてはたまらん作品だったわけですが、当時の彼らにあそこまで遠慮ない演出を行ったのはすごい。

 

ここまで読んで早速観たくなった方がもしいれば、ぜひ下記よりご覧ください。

 

スターダストチャンネル - Beautiful Chacer Music Story Filmフルバージョン

 スタダの男女のコンテンツがモリモリ観られる有料サイトでなぜか無料で観られるのでぜひ。

  

物語の簡単なあらすじとしては、

廃墟のような寂れた事務所で静かに眠る7人の探偵。先に目を覚ましたカイが事務所内を歩いていると、突然大きな音を立てて真っ白のワンピースを血に染めた少女が息を切らし入ってくる。そのまま気を失う少女にカイは駆け寄り、ほかの6人がいる場所へと運んで介抱する。次第に目を覚ますメンバーは、少女の怯え切った様子を見て、安心させるために7人で遊び始める。落ち着いてきた少女は彼らに混ざり、一緒にペンキを塗ったり、屋上でシャボン玉をしたり、徐々に心を開いた様子。しかし、屋上から見えたとある車に気づき、再び動揺を始める少女。彼女の様子を見て「追われている」と察した彼らは、覆面を被った彼女を狙う男たちと戦う準備を始めるが……

という、やさしめのアクションスリラーという感じです。ナタリーさんでは「ハードバイオレンスアクション」と書かれています。アクションであり、サイコスリラーぽさもある……。(たぶん)

 

 

以下プチネタバレ注意。

 

 

このストーリーフィルムの個人的に好きなポイントは、

 

  1. 全体的に彩度の低い、幸福感を全く感じない色彩
  2. セリフに重きをおかない、演技・演出命の脚本
  3. 遠慮ゼロの戦闘シーン
  4. いわゆる「メリバ」
  5. 物語は終わらない

 

の5つです(そりゃほかにも細かいとこ言い始めたら無限にありますが)。

なお、当ブログは著作権全力クリアをモットーとしており、場面写真が貼れません。文字ばかりで大変恐縮ですがどうぞよろしくお願いします。

 

 

以下しっかりネタバレがあります!

 

 

1.全体的に彩度の低い、幸福感を全く感じない色彩

 

かなりしっかり彩度が落とされ、くすんだ色合いが初見から不穏な空気を視聴者に察知させていて好きです。ちょっと内部的な話ですが、超特急にはイメージカラーがあり、これまでのMVはもっぱらその色をふんだんに使った鮮やかなものが多く、そういった意味では彼らの雰囲気とは非常に対照的で、ファンだと一層「ヤバい空気」を強く感じてしまうわけです。

 

物語は基本的に全然明るくない、ひたすら重いストーリーですが、メンバーがペンキやシャボン玉を使って遊ぶシーンは、彼らも少女も笑顔で幸せそうにしているんですよね。しかしそんな楽しい時間をかりそめの幸福だと感じさせてしまうような色彩使いが、個人的にはたまらなく好きなのです。

natalie.mu


あと余談レベルですが、廃れた廃墟をペンキで染める時、そんな空気を断ち切らんとばかりに真っ白のペンキを使うのもまたグッときます。

 

ここで気になった方用にリンクを再度貼ります。

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2.セリフに重きをおかない、演技・演出命の脚本

 

多少のセリフはありますが、物語に大きく関わるようなフレーズは一切なく、基本的には彼らの表情や叫び声、演出そのもので魅せていきます。

 

少女の表情から追われていることを感じさせ、メンバーの表情で少女を守るという決意を表し、さらに、最後のカイくんと覆面の戦闘シーンはこれまでくすんだ色合いで包まれた画面が、センター・ユーキくんのイメージカラーである真っ赤に染まり、我を忘れたカイくんの狂気を表現しています。

natalie.mu


これをまだまだ役者業が少なかった当時の彼らにやらせてしまう監督、超特急をあまりにもわかりすぎている。超特急は演技が上手いんですよ。本当に。

 

ここで気になった方用にリンクを再々度貼ります。

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3.遠慮ゼロの戦闘シーン

 

冒頭から繰り返した「リョナ」とはまさにこのシーン。

少女を守るために逃げる準備を始めるや否や、ひとり飛び出したユースケが、ふいに現れた覆面男に釘バットで思いっきりぶん殴られるところからそんな問題のシーンは開始します。個人的には、推しであり誰よりも体格が良いユースケがそんなあっけなくやられるのは納得いかないと思う反面、たしかにユースケは手を出すようなタイプじゃないよな… と思ってやっぱり解釈一致しました。
覆面にバットで殴られたユースケが、あまりの勢いに壁際まで吹っ飛ばされるところから、どんだけ強く殴られたかが感じられます。その後、真っ赤になった手で一度壁を撫でるように起き上がろうとする姿に胸がギュッとなります……。
そしてこのシーンさすがだと感じるのが、顔を殴られているので殴られた顔は映さないんですよね。顔の左側をやられているため、最後に映るのは右側です。

 

全員のやられ方紹介してくのもネタバレすぎるので、個人的にグッときたメンバーをあと2人。
重たい照明機材のようなもので殴るも、全く効いている様子のない覆面からナイフで返り討ちに遭うコーイチ。彼はボーカルなのですが、ナイフで切り裂かれるのはなんと「」。故意かたまたまかは定かではありませんが、深読みオタクなので「ハ〜〜〜〜」と感嘆の声を漏らしてしまいました。ちなみにコーイチくんが殴られたガラス瓶は飴細工だそうで、「全然痛くないねん」と何かで言っていました。

 

そしてもうひとり、子役時代から様々な作品に出演し、超特急内でも役者業が盛んな高い演技力を誇るタクヤくん。彼は覆面に仰向けで押さえつけられ、長めのナイフで腹部を繰り返し…… という感じです。
メンバーきってのベビーフェイスのタクヤくんが、そのかわいらしい出で立ちから放つ非常に苦しそうな表情は見事としか言いようがありません。始めは抵抗を見せている表情も、ゆっくりと無に近づいていく様子に「タ、タクちゃ〜〜〜〜〜ん泣泣泣」になります。

 

あとこれも余談レベルですが、前半で顔や服をペンキの白に染めた彼らが、戦闘で今度は血の赤に染めていくのが対照になっているようで好きですね。

 

ここで気になった方用にリンクを再々々度貼ります。

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4.いわゆる「メリバ」

 

普通にネタバレしてしまって申し訳ない。そしてこれは完全に個人的な解釈です。事務所内で順に殺されていく彼らですが、少女を最初に見つけたカイだけがかろうじて連れ去られた彼女を追い外へと飛び出します。しかし、車内から足を撃たれ、動かぬ足をどうにか引きずり覆面らのアジトらしき場所へと到着するも、敵の奥に見えるのはガレキに埋もれ動かなくなった少女の手。最後の力で覆面らを手にかけ、少女の冷たくなった手をつかもうと腕を伸ばすも直前で息を引き取る… という本当観る人次第過ぎるエンド。

 

 当時いまのように8号車*1との交流がなく、8号車のみなさんの最高考察をたくさん見ていないのが本当に悔やまれるのですが、いろいろと考察が飛び交ったこと自体は認識しております。例えば「カイくんだけループしてる」とか。超特急はまどか★マギカなのでループ説確かにあるな〜 と思っています。

natalie.mu


全員命落としてるしバドエンじゃん、と思うわたしももちろんいますが、でも女の子含めてみんな同じ場所に行ったんだからそれはメリバでしょうが…… というわたしもおり、ここは完全に観る方の判断に委ねられる部分だと思います。

 

ここで気になった方用にリンクを再々々々度貼ります。

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5.物語は終わらない

 

超特急はここで終わるタマじゃあねえのですよ。
Beautiful ChaserのStory Filmには、実質続きがあります。8号車を狂わせた最強の設定、「輪廻転生」です。

 

1stアルバム「RING」輪廻転生
10thシングル「Beautiful Chaser」=七つの大罪
2ndアルバム「Dramatic Seven」=生まれ変わり

 

以上のように、それぞれの作品のコンセプトを交錯させ、Dramatic Sevenのリード曲、「Seventh Heaven」でBeautiful Chaserのその後が描かれています。とはいえ、それぞれの作品は独立しているので、ネット記事などを読むことで話が繋がっていることに気づく、という演出です。クゥッ…… 粋だね……。

 


超特急「Seventh Heaven」MUSIC VIDEO

 

Seventh Heavenは、Beautiful Chaserで死んでしまった彼らが、七つの大罪それぞれに対応する動物に生まれ変わり、自分を救った愛する人を探して砂漠を彷徨う、というようなストーリー。この曲は超特急楽曲内でも5本の指に入るようなクセの強い一曲になっており、1番では重厚なバラードだったのが、突然転調し、軽快なテクノに変貌します。こういう変なことを違和感なくやってしまうのが超特急。

 

ちなみに、このDramatic Sevenでは1〜7号車それぞれのモチーフ曲が作られ、Seventh Heavenを含む全ての新録曲は「愛」がテーマになっています。
個人的には、超特急のライブアンセムのひとつである、「2次元愛」がテーマの3号車リョウガくんモチーフ曲「超えてアバンチュール」と、Seventh Heaven同様転調があり、これもクセ強曲である、1号車コーイチくんモチーフの「ライオンライフ」が手軽に狂えておすすめです。

 

輪廻転生モノ好きな方、要チェケ。

 

さすがにもう観たくなってきませんか? リンクをどうぞ。

スターダストチャンネル - Beautiful Chacer Music Story Filmフルバージョン

 

 

 

そして、本作でメガホンをとったのは、映画監督の内藤瑛亮さん。
映画好きの方なら、序盤で出たとある作品名とリンクしたのではないでしょうか? 内藤監督は、2016年公開の映画『ライチ★光クラブ』で監督を担当されています。お恥ずかしながら、わたしもこの記事を書いているなかで知りました。
ライチのほか、代表作として『先生を流産させる会』(2011年)『ミスミソウ』(2018年)などなど、人間の心の暗い部分を膨らませたサイコホラー系の作品を多く監督されている、まさにその道のプロ。

 

www.youtube.com


ちなみにこの作品は、実際にあった事件を題材に、学校で起こった事件を描いています。予告編のみの視聴ですが、無邪気な少女たちが、その年齢ならではの発想で先生を陥れようとする様子はなかなかに狂気的です。気になる方はぜひ。

 

 

 

というわけで、わたしが超特急作品のなかでも1,2を争うほど好きなBeautiful Chaser Music Story Filmについて思う存分語らせていただきました。ご覧になりたくなりましたか? わかりました。もう一度リンクを貼っておきます。


スターダストチャンネル - Beautiful Chacer Music Story Filmフルバージョン


もういままで100万回くらい訴えてきましたが、超特急狂気的・猟奇的な演技も絶対ハマると思うので、超特急のサイコパス役見てみたい。超特急の好青年ぶりに爽やかな役柄ばかりが回ってきてニコニコしちゃうけど、そろそろ一発観る人選ぶような作品に出るのもアリかと。個人的には『アンダー・ユア・ベッド』くらい思い切った作品でもいいかもしれない。いやでもちょっと覚悟はほしいかもしれない。
あとは、もう少し歳を重ねていったら、結婚して時間が経ってしまって、お互い好きの気持ちはあるんだけども、愛情…、愛情か…… みたいになった感じの大人な映画の主演も欲しい。5000兆円より超特急のサイコパス役の方が欲しい。

 

というわけで、赤く染まる超特急をぜひお楽しみください。

 

 

 

 〈Beautiful ChaserのCD購入はこちら〉

ちなみに収録曲は以下のような感じ。

01.Beautiful Chaser(共通)
02.HOPE STEP JUMP(共通/映画『サイドライン』主題歌)
03.fanfare(Aのみ)
03.One/O Signal(Bのみ)

Aの「fanfare」は超特急史上1、2を争う大名曲。誰が聞いてもハマりそうな爽やかなナンバー。Bの「One/O signal(ワンオーシグナル)」は、個人的にガチ推しソング。かなり独特なメロディで、細かくボーカルが入れ替わって歌うサビが面白い。ロックっぽいしEDM系っぽいし、K-POPっぽさもある。

 

Beautiful Chaser(A)

Beautiful Chaser(A)

 
Beautiful Chaser(B)

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Asayake

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  • アーティスト:超特急
  • 発売日: 2020/12/16
  • メディア: CD
 

最新曲もチェケラ。 

 

 

 

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*1:ファン名