【Part1】音楽で読み解く超特急【超特急の音楽全体編】
「SAY NO」ARENA TOUR 2019-2020 Revolución viva @Osaka
みなさんこんにちは。さとうです。
月イチくらいで更新したいと思ってたのに、Twitterでベラベラ話しすぎてネタ切れしていました。
さて今回ですが、オタクからオタクへのインタビュー記事になります!(???)
ご縁と行動力で、現役でDJをされているemさんにリア凸*1させていただき、わたしの聞きたいことを片っ端から聴取し、ボイスレコーダーに収め、記事化させていただきました。いや本当行動力。現場閑散期だから叶った。
はじめに事の発端を簡単に説明しますが、そんなことより超特急の音楽の話を聞きたい方の方が多いはずなので目次から本題に飛んでくださいませ。正直最高なのでよろしくお願いいたします!
※ガチガチの専門用語が多用されているため、一個一個に超簡単に説明した注釈をつけております。そのため文章がゴチャゴチャしていたりもするのですがご了承ください。
また、内容はすべて「個人的感想」「オタクの一意見」ということをご理解ください。
事の発端
8号車の布教活動により、いつも通り思いがけず超特急に出会った人々のツイートがTLに現れる日々。しかしある日、いつもと雰囲気の違う方が…… と8号車もザワザワし始め、それがemさんでした。
超特急、他の楽曲も聞いたらめちゃくちゃクラブマナーのトラック多くて世界で売れるための要素が多くてヤバい。DJで使いたい。
— em (@em_meow) 2019年9月19日
これまで超特急にハマる人々の多くは、元々別の音楽グループや、ミュージカルや舞台類の若手俳優界隈*2、そもそも初めてなにかに熱中する! という人などで構成されていました。そんななかでemさんは、現役でDJをされており、異色中の異色。少なくともわたしのような人間にとっては音楽のプロフェッショナルだったわけです。
さらにemさんの文章は非常に分かりやすく、専門用語も上手に多用されておりそれがなおさら「超特急ってなんかすげえんだな!?」という証明にも思え、勝手にリストに入れて監視させていただいておりました。
で、先日の「Revolución viva」*3で直接ご挨拶させていただいた時もお互いアウトプット特化型(?)だったこともあり、ツメツメで30~40分*4ほど語りまくり。止まらないわけですよ会話が。話足りないから今度ボイレコ持って突撃しますわ~! みたいなことを半ば冗談でお伝えしたのち、「いや、コレ普通に記事化したらよくね? わたしだけがハッピーになっちゃいけなくね???」と思い、ちょうど良いタイミングを見つけたのでご提案させていただき、かっこよく言うと取材に至った次第です。
超特急の音楽を現役DJに思う存分語っていただく
1.emさんが超特急にハマった経緯をおさらい
※基本的には、emさんの下記のnoteにすべて記載されています。
note.comnote.com
さとう「ハマった経緯は何度聞いてもハッピーなので、簡単にお聞かせいただけますでしょうか」
em「ハマった経緯はなんといっても、以前バズっていた初乗車ブログでしょうか。基本的にバズっている記事は見る日常的な癖があって。そのなかでもファンコット(超特急の看板曲「バッタマン」が所属する音楽ジャンル。ジャカルタ発祥のテンポの非常に速いダンスミュージック)の情報ばっかりRTするinfoアカウントがありまして、そこ経由でそのブログがRTされてて読んだのがヤバすぎました。
この方のブログでなんでバッタマンを聞いてみるかと思ったかというと、『泥臭さ』や『8号車の色の洪水』といった、いわゆるアイドル界隈にあるメジャーアイドルとしての洗練、あるいは味気なさとは違うニュアンスを感じたためでした。
だからって、ただ見にきているだけで演者の世界観に溶け込む気がないorオタ芸を打つのが目的、というわけでもなく。超特急はそういった隔たりがなく、新規も古参も全員が溶けこんでいるという、メジャー・アングラどちらの界隈でもない感じがすごく気になりました。
また、そのブログに書かれていたバッタマンを表す表現が妙に引っかかり、それで「ちょっと聞いてみよう」てなったのが運の尽き(?)でしたね……。びっくりするぐらい、自分のDJで使うジャンルの一種である、ファンコットにモロな曲調で、でもファンコットの基本とは違うポップな構造にやられました。
そのあと嫌な(?)予感がして、『Hey Hey Hey』と『超ネバギバDANCE』を聞いたのがハマった決定打です。バッタマンだけならまだ”2010年代アイドルが使う電波ソング(定義は様々ですが、超特急でいうとまさに看板曲と言われるインパクトの強い楽曲など)・ハードコアテクノ(速いテンポの電子音楽)の亜流としてのファンコット”として理解できたんですが、2019年のご時世に、(Hey Hey Heyで)ガチでファンク寄りの音楽やるのがヤバすぎました」
2.改めて初乗車の感想を聞いてみる
さとう「初乗車の感想も何度聞いてもハッピーなので、お聞かせいただけますでしょうか」
em「当時の感情は、リンクしていただいたnote(こちら)に置いてきました。最高しか言えません。なかでも、いまだに余韻として残るのが、”メンバーのみのダンス・歌、モニターへのカメラ抜きだけで12000人キャパでも人を楽しませることは、過剰に演出しなくても可能であること” “スタンドのかなり上方の席でも、曲ごとの空気が伝わること” “色気は100m以上離れてても知覚できること”でしょうか。
初乗車で『Body Rock』と『Kiss Me Baby』を見たのは、ド新規8号車の情操教育*5(?)に良くなさすぎる(※もちろん褒め言葉です)。また、1/3~1/5の代々木公演は、個人的にHey Hey Hey〜STYLEの流れが音楽的に天才すぎるセットリストなんですが、あまりにもブラックミュージック*6寄りすぎる展開で、さとうさんのSpotifyプレイリストでSTYLE聞き直すと、なんかもう泣けてきます。どっからどう聞いてもコーイチの歌(後述:【Part2】)寄り過ぎる。それをタカシができちゃうのか〜〜、と」
3.超特急の音楽への全体的な印象
さとう「超特急って、『バッタマン』とか『超えてアバンチュール』類の盛り上がり曲を“超特急らしい”とは表現しますが、“形・ジャンルに囚われない幅の広さ”そのものが魅力だと考えています。そういった“超特急の楽曲全体”への印象をお聞かせください」
em「ド新規8号車の身で言うと、『バッタマン』『超えてアバンチュール』はまぎれもなく超特急らしさを感じる曲です。そのアーティストらしさを決定する曲って、間口が広く、でも沼に落とす曲で。Perfumeで言うとポリリズムとかチョコレイトディスコとか。氣志團だとOne Night Carnivalとか」
さとう「いわゆる『代表曲』的な」
em「おっしゃる通りです。これを聞けば超特急! とわかる。ただ、“超特急の楽曲全体”で見ると、次に何をやるのか、マジでわからないのが最大の魅力だと思います。ファンから見た超特急といえばこういう曲調でしょ? という決めつけも、超特急を知らない人から見た、男性アイドルなんてそういう曲調の幅まででしょ? という決めつけも、何もかも超えていけるという強みがあります。すごい。
Perfume、BABYMETALと同じクラスになれる可能性の塊でありつつ、軸となる曲ジャンルはあるけど、超特急は次に何のジャンルをやるのかわからなくて、それすらもクオリティ高くやる感じ。
“非アイドル”*7やK-POP or EDMコピー時期*8からの、インダストリアルロック(電子音を用いたロック、例:Beautiful Chaser)、ディスコ(例:PUMP ME UP)、モータウン(ブラックミュージック×ポップ、例:Revival Love)、グライム(ダブステップ*9×ラップ・レゲエ、例:On&On)、R&B(例:Body Rock)、サーフロック(例:TAXI)、ファンコット(例:バッタマン)、パンク(例:超えてアバンチュール)、ミュージカル調ブレイクコアというかダンスコア(複雑なビートに、サンプリング*10を駆使したジャンル、例:Don't Stop 恋)、トレンディ80’s歌謡曲(例:サヨナラは雪のあとで)まで、マジでなんでもできる可能性がすごい。アティチュード*11がないからこその許容量がデカい。
なのですが、A&R*12の宮井さん*13いわく「なんちゃって(※該当記事)」なので、あくまでも器用になんでもできる、日本発アーティストのスタイルは崩さないと思われます。
初見でYouTube閲覧して一発で評価されうるクオリティなので、『良さをわかる人だけわかればいい』て感じなのかなあと思います」
さとう「は~~~~~~~なるほど」
em「YouTubeをラジオ代わりに聞く人へのアプローチの仕方がヤバい、という感じですね。『バッタマン』とか『超えてアバンチュール』は本当に初見で死んでしまうぐらい、音楽的な完成度と圧が強い。noteでも書きましたが、フェスやアウェイ環境で間違いなく8号車でない人々を惹きつけるのは、上記2曲と『超特急です!!!!!!!!』の計3曲かと。ヤバい理由としては、ファンコットやパンク、電波ソングを知ってる人ならおっと? となる曲調。これらはいわゆる3次元アイドルに興味ない人ほど刺さる音でもあります」
さとう「たしかに、超えアバは素人ながらにすごい曲だな、という印象はかなり強いです。なんかこう、つまづく部分が全く無い上に転調が異常にシームレスというか。ストーリー展開が目に見える曲で、ただ盛り上がるってだけじゃない感じがします。ちなみに超えアバ作詞作曲の浅野尚志さんはでんぱ組に多く楽曲提供している方ですね。一生のお願いなのでもう一曲だけでも超特急に曲書いてほしい」
em「この曲まさしくリョウガさんのキャラ設定そのものすぎて、例えば、3次元の女性アイドルグループに無関心だけど、『ラブライブ!』や、『ゾンビランドサガ』は激しく推せる人に向けた歌を”3次元男性アイドル(アーティスト)がやってる”ことのヤバさがすごい。というかわたしも『ゾンビランドサガ』や『魔法少女 俺』大好きマンなので、超特急がその心情の歌やってることに衝撃でした。話は戻りますが、一方で音楽のジャンルなどをそもそも知らないけど、何かしら抱えてる人(バッタマン:何者かになれないバッタモンな人、超えアバ:二次元オタクな人、超特急です!!!!!!!!:初見の人にも”8号車が好きだから〜〜!”なんて言えるの??と曲の趣旨が伝わった人)という、これから8号車になりうる人=未来のファンへのメッセージがエグすぎるというか、音楽としてのレベルとメッセージ性としてのレベルを両立できるのがすごい。
わたし、いまだに『超特急です!!!!!!!!』が、ユースケさん作詞作曲と信じられなくて」
さとう「ヱ! そんな!」
em「作曲・編曲はサポートスタッフがいればなんとかなるからまだわかる、でもその作詞はなんだ?? どこまでファンへの目線深いんだ?? と、こちらが怯むレベルで深度がつよい。
一見シンプルで、誰でも思いつきそうな歌詞にも見えるけど、実は『これは確かに超特急メンバーも8号車も愛してないと出てこない歌詞』になってるのがすごい。
TEFB横アリ版MCを聞いて、20分で歌詞降りたの!? ヤバすぎない!?!?!? コーイチさん、『デモ録音、家庭感出てるねん』てあなた… それ…って思いました。
個人的にそれも超特急の音楽なの!? とびっくりしたのは『Turn Up』『Seventh Heaven』『コーシエンノイ』『ソレイユ』『On&On』あたりなんですが、どのへんでびっくりしたかと言うと、そういうえげつない帯域(帯域=音の範囲。低すぎるくらいの音や、逆に非常に高い音を使用していたり、あるいはボーカルの声と重なってしまう可能性もあるなか、一級のミキシングによりどこも音が潰れずに綺麗なサウンドになっている)のトラックもやるのか、もしくはアイドルジャンル的にチル*14過ぎる音だけど良いのか?? という、いろんなびっくりがありましたね。
『On&On』はぶっちぎりに歌モノのグライムJ-POPとして最高なので、これだけはDJ各位にも聞いてほしい。音のバランス良くて歌も歌詞もいいので」
さとう「まあロマンス倶楽部*15ですからね……」
em「いやほんまロマンス倶楽部、アレな言い方ですがあたまおかしいレベルの作詞作曲性能なんですよ。あと、『Kiss Me Baby』も、そこ(サビ前)でバックトラック*16なくすの!? というびっくりがすごかったです。ああいう音の消し方、まずやらないことなので。そして『ライオンライフ*17』。ベースの音楽ジャンルがジャングル(サンプリング音を多用し、複雑なリズムを刻むテクノ系レゲエ)・ハードコアテクノ・電波ソングじゃないですか最高最高最高!!!!」
さとう「あああARuFaのキャラソン*18みたいになってるしわかります(手首にナイフを当てながら)」
em「これDJでもゴリゴリに使いたいのですが、使うとフロアで8号車さん本当につらくなると思うので、すごい使いどころ悩むやつです。これを七つの大罪というテーマに盛り込む*19のもヤバすぎる」
さとう「超余談ですけど、ライオンライフは音源と違って、現場で聞くとバックトラックのドンドン鳴る音がすごい前に出て聞こえて全く表情変わるんですよね」
em「最高じゃないですか……。あと、超特急はバックトラックの演奏が全員楽しそう、もしくは世界観を理解してやってる感覚がすごいです。特に超えアバは全パート演奏者すげー楽しく演奏してるな、てのが伝わる感じ。リズムがはねてる感じというか。楽しく(またはこれを機に名声稼げると見込んでる)楽器演奏、またはトラック制作できてる音楽はいい音楽です。調子がいいんですよね全体的に」
まさかのつづく!
想定の8億倍文字数が増えてしまい、1記事で済ます予定がこの記事一本で7500文字超えちゃいました(だいたい5分で読めるのが2500文字くらい)。そのため次回に続きます! Part2では、楽曲をいくつかピックアップし1曲1曲にフィーチャーしてお話を伺いました。本当にただわたしが楽しいだけの記事です。
それでは、お楽しみに~~~!
▼ご協力いただいた方
em(@em_meow)
emさんのDJ mixはこちらから👇
mixcloud.com
▼Part2「各楽曲編」
合わせてチェック☑
【発売情報】
▼single 「Asayake」
個人的にジャケ写がすごい好き
▼BULLET TRAIN ONLINE SPECIAL LIVE 「Superstar」
※2/8までの完全受注生産なのでご注意を!!!!!!!! 迷ったら買うと良いと思います
▼BULLET TRAIN ARENA TOUR 2019-2020 「Revolución viva」
年末公演・年始公演を共に収録。なんてお買い得
▼冠バラエティ「ギラギラ超特急」
右上はさておき、東映許可済みの「超トッキュウジャー」
▼Youth Ticket Series
各3,565円のお手軽Blu-rayシリーズ第4~5弾。1~3も要チェケ!
【関連記事】
▼超特急メンバーをそこそこ詳しく紹介しています
▼推しの6号車ユースケくんをそこそこ詳しく紹介しています
▼超特急への“はじめてのかきん”へのアシスト記事です
*1:オフで会うこと
*2:さとうはココ
*3:BULLET TRAIN ARENA TOUR 2019-2020。2019年12月21日~22日大阪城ホール、2020年1月3~5日代々木国立競技場第一体育館
*4:普通ライブ前にフォロワーと会ったとしても、5~10分程度しか話さない
*5:心を育てる教育
*6:ビート感、グルーヴ感を特徴とする、黒人発祥の音楽の総称。R&Bやファンク、ソウルなど
*7:~「バッタマン」まで、CDに「非アイドル」と書かれたシールを貼っていた超特急。いまもその影響はファン内では根強く「非アイドル」過激派も多数。わたしも正直アイドルと呼ばれるとザワッとします
*8:「韓流リスペクト」を公言していた時代がありました
*9:超ざっくり言うと、2ステップと呼ばれる、四つ打ちのような比較的ポピュラーなリズムにとらわれないメロディに、強い残響効果を加えた音楽
*10:既存の音(それこそ電車の発車音とか)
*11:決まったスタイル、態度
*12:アーティストレパートリーと呼ばれる、レーベル会社において、アーティストの発掘や育成、ならびにそのアーティストに相応しい楽曲の制作などを担当する人
*13:超特急楽曲のプロデューサーまたは制作ディレクター。通称「おやびん」
*15:さとうが絶対的信頼を寄せる正体不明の作曲家。「超ネバギバDANCE」や「Jesus」など
*16:簡単に言うとBGM
*17:2ndAL「Dramatic Seven」に収録された、1号車コーイチをモチーフにした楽曲
*19:「ライオンライフ」が収録された2ndAL「Dramatic Seven」は、10thSG「Beautiful Chaser」とストーリーがつながっており、Beautiful Chaserは七つの大罪テーマ。さらにライオン=Beautiful Chaserでコーイチが背負っていた罪“傲慢”のシンボル動物